いつの間にかの君

天音。



はちみつ色の長く伸ばされた柔らかい髪。

琥珀の宝石の様な穏やかな印象の瞳。



私より1つ下の、一言で美少年だ。



昔の事でうろ覚えも良いところではあるが、

物心つく前からの仲であり、出会いは両親の引き合わせだったはず。



関係は家族ぐるみで出掛けたり、家を行き来したりなどと、

結構親しかったはずだ。



まぁそんな事はいい。



今思ってるのは1つ。

それは、昨日の私といつもの私が結び付けられているか。



私が桜凛の倉庫に出入りする時は、同盟関係の黒蝶として。

それも情報交換の様なもので、フードを取る事は一度たりともしていない。



取れた姿を見られたこともないし、私だと認識してる者など居ないだろう。



天音にも黒蝶としては初対面という再会だった。



…つまり色々こう、不安なのだ。



思い返せば昨日は黒蝶ではなく私のほぼ私服で出掛けていた。

声音なども黒蝶のものに出来ていたか分からない。



見張りのメンバーの反応は黒蝶の時に受けるものだった。



一方、幹部達は私を黒蝶として認識していたとは思えない。

明らかに誰だコイツというものだった。



だが天音はどちらとも取れない。



黒蝶の時もいつもの時と同じ反応だからだろうか。

区別がつかない。



こうも私が心配する理由はいくつかある。



それは私は喧嘩ができないという設定だからだ。



兄2人と千景以外には、

私が喧嘩出来るということは知られていない。



いつも世間一般的な普通を装っている。