本当のリクくん?

すごく会ってみたい。

でも、会ってはいけない気がする。

「早くしろ。」

不動くんの声に背中を押され、私は覚悟を決めた。

「うん。」

バイクに乗って、流れていく景色を見ながら思う。

リクくんに会いたい。

本当のリクくんを見たい。

もう、リクくんに対する想いが止まらなくなっていた。

「おまえ、陸丘 王真の女じゃないのか。」

エンジン音に負けないように張り上げる不動くんの声が聞こえた。

「別に、そんなんじゃないけど。」

私も声を張り上げる。

「はは、でもまさか合コン行ってるとはな。」

低く笑う不動くんが、バイクを止めた。

少し空いた倉庫のドアから大きな音が聞こえた。