「っと…ついたよ。」

百さんのプライベートカー…といってもキャンピングカーだけれど。
それに乗せられて着いたのは有名な遊園地。

メタだとディ〇二ーとかU〇Jとかそんな感じの。

「おー!」

タマは施設育ちの為あまりこういう所には来ていないらしく
興奮している。ナギも日本のものはあまり来たことが
ない様子でタマと一緒になってはしゃいでいた。
そこにミツや百さんが加わり楽しい雰囲気が漂う。
さらに八乙女もそこに駆けていく。
向日葵のような笑顔、というのはミツや百さんの
ためにあるような言葉だと思っていたが八乙女にも存外似合う。

(眩しすぎる。あの場所は。)

俺のような日陰で生きてきた奴には到底似合わない。

「大和くん」

「…なんすか。千さん。」

「苦しいかい?」

「…っ!そんなことっ…な、いです…」

彼の顔を見たら嫌に悲しそうな顔をしていた。
何故、アンタがそんな顔をする?
それを思ったと同時に慈しみの表情だとも思った。
そう分かってしまったのが癪にさわる。
壮五は向こうを見て微笑んでいるため
こちらの話なんて聞いていないだろう。

何となく千さんにムカついて、騒がしい彼らの
数人を引っ張って「行くぞー」と声をかけた。

引っ張ったのはミツとナギ。
後ろを振り返ることなく進む。
驚愕の色は楽しそうな気配へと変わった。
「意外とおっさんも楽しみなのかー?」
なーんて楽しそうな声が飛んでくる。
それを「うるせー」とテキトーに返す。
少し、楽しげな色を含ませて。
演技は、得意だから。
特に、自分の感情を隠すのは。

その後ろで少し不服そうな顔をした八乙女を俺は知らないんだ。