この生活もいつからか。
そう思いながら、歩く。


「飯田!一緒に帰ろうぜ!」
そう言って俺、飯田晴矢を呼んだのは親友、前田淳人だ。
「悪い、今日は用事があるから帰るわ」
「まじかー、おっけ!じゃあな!」
「あぁ」
なぜ帰るのか。俺は。
その理由は明確だ、ゲーム。
ゲームをするために帰るのだ。
といっても、ただのゲームじゃない。
なんだと思う?
MRゲームです。
MRと言うのは、簡単に言うと複合現実のことで、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)がミックスされたもの。
今回発売された「FV」というサングラス型の機会を通して、現実世界にモンスターを見せる。レベル、装備の強化など通常のRPGと変わらないことが現実でできる。
因みに、ここからがすごいところだ。
経験値、いわゆるEXPを手に入れると、それを自分のステータスに振り分けられる、例えば、俊敏さに経験値をつぎ込めばFVを着けている間のみ、現実でも足が速くなる、ということ。
日本で先着5万人だけが買えた。
で、俺はその5万人の中の1人になることができたので、帰るのである。