「やった!」

小さくガッツポーズする甲斐くんがまるで子供みたいで可愛くて、こんな一面があったなんて知らなかった。

いつもどこか落ち着いていて、みんなと弾けることはあってもやっぱりどこか穏やかだった印象が強い。

そうか、あれは社会人仕様だったんだ。

新しい甲斐くんが知れて凄く嬉しい。

「なあ、鈴原。雪降ってるし家まで送るよ。」

「え?そんな、いいよ!」

「少しでも長く居たいから送る。」

そんなにストレートに言われたら断る理由なんてなくなってしまう。

私だってもっと一緒にいたい、その気持ちが一緒だったことが嬉しくて素直に頷いた。

甲斐くんは満足そうに笑った後、顔を近付けてきて私の耳元で囁いたのだ。

「送りオオカミになるけど、いい?」

たちまち全身が熱くなって思わず両頬に手を当てて目を泳がせた。

甲斐くんは意地悪そうな顔をしている。

きっとまた私に聞いてくるに違いない。

「ねえ、鈴原。いい?」

甲斐くん、気の所為かな。

きっと今私たち、甘い匂いに包まれている。

あと一回頷いたら、きっと。






***3→1feet***