「なんで愛ちゃんは言えないわけ?」


歩ちゃんは私に聞く。


だって…


「だって先輩、受験生だもん。不安になったら大変な事になっちゃう。大事な時期なの……。」


先輩が大切だから不安にさせたくない。


「じゃあ、愛ちゃん一人で悩むの?裕君ってやつの事。」


歩ちゃんが言う。


「だって…今日だって先輩おかしくなったし。ヤキモチ妬いたら大変だよ。だから頑張って隠すしかないかな…。」




「それでいいの…?」


美香ちゃんが私に聞く。


「うん。裕君の事は一人で何とかする…。」


「愛ちゃん…」


二人は私を心配してくれるけど…


大丈夫だよね。


裕君が家を出るまで頑張って隠して…


先輩とは普通に付き合う。




この時はそれで良いと思った。


思ってたんだ……。





だけど……。



――昼休み、今日は先輩のクラスに私から行った。


いつも来てもらうの悪いからね…。