「神代、くん?」 「あぁ、ごめんね。アヤノちゃん」 そう言った瞬間、目の前のアヤノは顔を歪ませた。 「美麗(ミレイ)よ」 それが名前だってことは知ってる。 だけど、何で今そんなこと言われたのかわからない。 「だからっ、アヤノちゃんて、名前じゃないわよっ」 声を急に荒げて言うアヤノに驚いてもう一度見ていると、 その大きな瞳にたまった涙。 ―――なんの、涙だよ