ただの派手な女。

それが俺が彼女を見た第一印象。

それが変ったのが、


「神代くん、よね?」


女から呼びかけられたらとりあえず笑顔で答えることにしている俺。

いつものようにその顔を貼り付けて振り返った。


「何それ。すごく嘘っぽい」


は?
今この女なんて言った?


「何か、用?」

「あぁそうだ。これを」


目の前に出されたのは一冊の本で、それは最近知り合った優太に借りる約束をしていたもの。

なんでコイツが持ってんの?


「優太に返そうと思って連絡したら、あなたに渡すようにって」

「へぇ」


優太、この女と友達なんだ。

メガネを掛けてまさにインテリみたいなタイプの優太。

知り合いってだけでもビックリなのに、この女に用事を頼むなんて。

かなり意外。