「秋元、これで納得したか?」


「………如月さんってカッコいいです。
平本先生にあんなカッコよくて優しい友達がいただなんて知らなかったです」


「あいつ本当の家族がいないから昔は人と関わろうとしなかったんだけどな…
月岡と付き合いだしてから変わったよ」


「如月さんって家族いないんですか?」


「あぁ、小さい頃に亡くなったらしい…
俺も詳しく知らないから何とも言えないけど…
ま、俺には関係ないから気にしてねぇし」


何もないように振る舞っていた如月さんにそんな過去があっただなんて…



「そういえば!
平本先生って下の名前は“コウ”って言うんですね」


「4月の自己紹介の時に黒板に“平本 紅”って書いたぞ」


書いたかな…
覚えてないや。


「兄貴はこの名前嫌いなんだよ」


「どうしてですか?」


「女っぽいし、運動会はいつも“紅組”になるから嫌いなんだよな。
コウ!!」


「藤、バカ言うな!」



如月さんがお弁当の袋を持ってあたしの後ろに立っていた。