「ニンジンなんか嫌いじゃないからな!
ただ食べないだけだから」


「でも先輩…
食べましたよ?」


「はい?」



気付いてない、気付いてない。

先輩は知らないと思うけど…
このお弁当の中には先輩が嫌いな『ニンジン』が入っている。



「俺食ってねぇぞ?」


「食べましたって!」


やっぱり気付いてない。


「ハンバーグに細かく入れてあるんです」


「…………」



目を大きく開けてあたしを見ている。
カワイイ!


「先輩が“ニンジン食べない”って聞いたので本当は入れないでおこうと思ったんですけど…
ニンジンは美味しいので…

入れちゃいました♪」



どーしても先輩にニンジンを食べて欲しくて昨日の夜色々考えて…
ハンバーグに細かく入れる事にした。


「先輩、本当に気付かないで食べていましたね」


「ウソだろ?」


「ウソじゃないですよ」


福島先輩はまだあたしの言った事を疑っている。
本当なのになー…