蒼衣先輩が驚いているけど…

そんなの関係ない。


あたしの心臓なんかさっきからドキドキなんだから。



「あたしがわざわざここに来たのは理由があります」


「どんな?」


さっさっと『好き』って言えばいいけど、上手く言葉が出てこない。


「どうしても言いたい事があるんです、蒼衣先輩に」


「何?
そんなに急ぎの用事なの」


「急ぎです…」



断られることは分かっている。

蒼衣先輩があたしを好きになるだなんて思ってない。


でも伝えるしかない。



「あたし…
蒼衣先輩の事キライです。
ムカつきます」


「はい?
そんな事言いに来たの」



違うよ。
『好き』って言いたいけど、口からは違う言葉ばかり出てきてしまう。



「頭もよくて、スポーツだってできて…
背も高くて…
黒髪が好きとか言っている蒼衣先輩がイヤです」