「はい?」


『気が付いたの?』


って…


いかにも自分は『とっくに気付いていました』的な言い方。


「“はい?”じゃなくて、
“気付いたの?”って俺が聞いたの。


で、夏帆はやっと気付いたの?
自分の気持ちに」


「え、あ…
はい」


「それはよかった」



ニッコリ笑ってくれた。


…………どうして?


どうして、福島先輩は怒鳴らないの?

「別れたくない」って言わないの?


言われると思っていたのに…



「どうして俺が言わないかって思っているだろ?」


「はい…」


あたしの勝手な想いなのに…


どうしてそんなにあっさり受け入れられるの?