梓のように感情を表せていたとは…
到底思えない。
「夏帆、聞いてっ!」
「どうしたの?」
「あのね…」
先にベンチへ移動して座っていた梓が物凄い勢いで話始めた。
相当如月さんに怒っているみたい。
「昨日、平本先生が家にね遊びに来てくれたの。
けどまだその時は藤が家に帰って来る前だったの。
だから藤が帰ってくるまでまで少し時間があったからコーヒーを出して、あたしは勉強教えてもらっていたの。
そうしたらちょうど藤が帰ってきて、少し経ったら3人で夕ご飯を食べたんだけど…
藤がちょっと怒っているみたいだったの」
ここまで聞いて、なんとなくこの先が分かってしまう。
「平本先生がお酒を持ってきて藤と2人で飲んでいて、先に平本先生が寝ちゃったの。
だからその後にどうして怒っていたのか気になったからきいたの。
“どうしてさっきは怒っていたの?”って」
やっぱり梓は気付いていないか…
なんだか意外だな。
あの如月さんがそんなに梓を好きだなんて。
もっと余裕があるのかと思った。


