早足で歩いて行くうちに、アパートに着いた。
ハルさんが、ドアを開けてくれる。

「じゃあ、俺ご飯作るね」
「はい」

単調な会話。これも、いつものこと。
私は、こんな単調さが好きだ。変にお節介などされたら、たまったものじゃない。



意外にご飯は、すぐにできた。

「あ、そいえば制服、どーするの?」
食事の最中に、ハルさんに訊かれた。
「貯金で新しいの、買います」
「勿体無いねえ」
「はい」
「半分出そうか?」
「結構です」
「そう」

ぜひ、と言いたいところだった。でも、この人に迷惑はかけられない。ただの同居人、なんだから。