この人は優しい。
それが、本心でない優しさだったとしても、私はそれでいい。心地いいから。

「由梨ちゃん、明日も学校行くの?」
「はい」
「真面目だね」
「卒業するためですから」
「ま、そーだね」
「ハルさんなら、どうしますか」
「俺なら、辞めるかな」
「そうですか」

多分この人は相手の気持ちとか、顔色とか、一切気にせずに喋っていると思う。
だから、この人だってずっと大変だったと思うけれど、そんなの全く顔に出さない。いつも楽しそうにへらへらと笑っているだけだ。