「ちょっ…、え、さ、佐野く…っ」





好き





いつも一人ぼっちだった私に希望の光をくれた、佐野くんのことが、私は…





「渡さねぇ」


「…?」



私を抱き寄せる佐野くんの手には、かなりの力がこもっていた。



「ちょっ…、ちょっと苦し…」



離れようとしても中々離してくれない。


佐野くんは綺麗な顔をこっちに向けながら、一言。



「お前は俺についてこればいいんだよ」


「……っ!?」



どういう事か理解ができなかった。




あれこれ考えているうちに、予鈴も鳴ってしまった。


佐野くんはゆっくりと腕を離し、



「帰るぞ」


教室に向かって歩き出した。