私の腕を掴んでいる彼は、クラスメイトたちに返事もせずに階段を登り始めた。


そして、



ガラッ



「着いた」



ひとつの部屋に入ったと同時に私の手を離した。


部屋の入口には、『演習室』と書かれている。



やっぱり佐野くんだったーーー


どの角度から見てもーーー



「…佐野くん……」


「…っ!?」



私は思わず名前を呼んだ。

その時彼の表情が一瞬歪んだのが分かった。


彼は私の姿を足元から頭までゆっくりと見つめ、一言。