学校に着くや否や、私はある人に転校の由を伝えたかった。



「佐野くん」



家で朝食をとらなかったのか、席に座りながらコンビニで買ってきた焼きそばパンを頬張る彼に私は声をかける。



「ん?どうした?」



珍しく私の方から声をかけたのが気になったのか、彼は一瞬首をかしげた。


私は言っておきたかった。

いつも勉強を頼ってくる彼。
でも私がいなくなったら彼に勉強を教える人はいないだろう。

ーーーいや、いるか。
これだけ女子からキャーキャー言われる存在なら、私よりもその子達の方が…



「三倉さん?」