〈二年前〉

狼牙がまだこの世に出る前の話。

この街には夜な夜な暴走族が集まるBARがあった。

昼間は普通の喫茶店をやっていて、夜になると暴走族が集まるBARになる。

そこのマスターは、数々の暴走族から慕われ、みんなからは暴走族の父と呼ばれ、マスターのことを皆口々に親父や父さんと呼ぶ者が多かった。

私もここの場所によく通い、悪い族の情報を聞き出し、無くすのが私、焔の役目でもあった。

でも、このことはBARのマスターしか知らなかった。

マスター「今日も行くのかい?風」

私は素性を隠すために、マスターには風斗の頭文字を取った、風と名乗っていた。

風「あぁ、さっき情報聞いたからな」

今回始末する族は、誘拐、レイプ、薬など最悪なことを平気で行う族だった。
今も、そいつらの倉庫に何人かの女性が捕まっているとの情報だった。

マスター「あそこの族は質が悪い、気をつけなさい」

風「あぁ、分かってる」

きっと、武器も使ってくるだろう。
覚悟して行ったほうがいいな。

組長をしているせいか、多少の拳銃では何とも思わなくなった。
これは職業病なんだかなんなんだか。

さて、人質がいるから早めに行くとするか。

風「マスター、行ってくるよ」

マスター「気をつけて」

私は、BARを出て少し歩いた路地裏で焔になった。