突然にっこりと笑みを浮かべる慈英を見つめる。

騒めく女子社員。

彼女達に笑みを浮かべて対応を始めた。


「君達もランチ？」

「「はい。」」

「いつもお疲れ様。ゆっくり過ごしてね。」

「「はい。」」


満面の笑みを浮かべる彼女達はお互いに手を握り合って喜びを分かち合っているようだ。


「俺もゆっくりさせて貰っていいかな？」

「「はい。」」


さり気なく彼女達を遠ざけようとしている。

そんな事など彼女達は気付いてないようだが。


「じゃあ、会社では宜しくね。」

「「はい。」」


女性の扱いが慣れている。

自分がモテる事を知っている慈英は彼女達にどんな対応をすれば喜ぶのか知っている。

初めて出逢った頃の慈英の笑みだ。

女性ウケする笑みを心得ているようだ。

その笑みが嫌だった。

女性なら誰でも落とせると思っているような笑みだったから。


「慈英、行くぞ。」


武内さんの言葉に現実に引き戻される。


「慈英、気をつけろよ。」

「ああ。」


今の私と慈英は秘書と副社長。

仕事とプライベートはきっちりとしなければいけない。