その日、2人には慈英との事を凄く聞かれた。

あの副社長と付き合う私に興味津々の様子だった。


「一回しか見た事ないけど、凄くカッコ良いよね。」

「うんうん。心菜が羨ましい。」

「羨ましい？」


2人を交互に見て首を傾げた。


「副社長の彼女だよ。そりゃ、羨ましいでしょ。」

「副社長は大人だし、お金だって持ってそうだし。高級なレストランとか連れてってくれるんだよね？」

「まあ。」


確かに高級なレストランにも連れてってくれる。

払うのは勿論慈英だし。

私が払うなんて…………ない気もする。


「いいな。」

「うんうん。心菜が羨ましい。」


2人には羨ましいと連呼される。

確かに慈英にはして貰ってばかりだ。

2人の言葉を聞きながら今までの2人の事を思い浮かべていた。


『羨ましい』


周りから見れば…………そうなのかも。

でも私は他のカップルと変わらない付き合いをしていると思っていた。

他のカップルも私達と同じような付き合いをしているモノだと。