顔を見渡してみるが、賢以外が固まって動いてない。

賢一人だけがクスクスと笑っている。


「えええええ！」


叫び声が響いた。

それを皮切りに一斉に驚き始める同期に更に賢が大笑いを始めた。


「賢、本当か？」

「ああ、俺も紹介されて驚いた。」

「副社長？」

「そうなる。」

「マジか？」

「そう、マジ。」


匠海達の声が聞こえてくる。

視線を感じて鈴乃を見ればガン見されている。

結衣に至っては唖然と口を開けて私を見ている。


「心菜、本当なの？」


鈴乃から小さな呟きが漏れた。

そんな鈴乃に頷いてみせた。


「えっ？副社長の彼女ってコト？」

「あっ、うん。」

「心菜が？」

「だから賢とは知り合い。結衣、納得してくれた？」


結衣と目が合う。

小さく頷く結衣は未だに放心状態だと分かる。


「納得したなら出掛けるぞ。」


マイペースな賢の言葉に頷くだけの結衣は放心状態から治っていないようだ。

それでも歩き始めた男子に、私達も後ろを付いて歩き始めた。