いつまでも秘密にしておけない気がしてきた。

でも彼氏が副社長なんて…………ハードル高い。

ちらりと結衣を見れば目と目が合った。


「結衣、本当に賢とは付き合ってない。」

「なら、何で一緒に来たの。」

「…………知り合いとしか…………今は言えない。」

「はあ?何で言えないの。友達でしょ?」


表情からしてお怒りモードだ。

友達だけど言える?

いやいや、かなり驚くのは目に見える。


「心菜、別に言えば?」

「でも…………。」

「隠すと余計に怪しまれる。」


賢の言う事は最もだろう。

ちらりと周りを見渡せば、皆んなの視線が痛い程に突き刺さっている。

覚悟を決めた私は大きく深呼吸をした。


「絶対に内緒にして。」

「うん。」
「わかってる。」
「…………。」


もう一度皆んなの顔を見渡してみた。

興味津々な顔が並んでいる。


「彼氏なの。」

「…………。」


「賢のお兄さんと付き合ってる。」


誰も口を開かない。