無言の私を慈英が覗き込んてきた。

照れて頬が染まっているかもしれない。


「『本当に結婚するんだ』、『心菜と結婚できる』って…………なんかジーンとしてたかも。」

「そうなんだ。」


片言みたいな話し方にクスリと笑われた。


「心菜、可愛い。」

「…………。」

「照れてる?」

「褒められる事ないから。」

「男性社員の視線が向けられてるのに気づいてない?」

「それはない。」


顔を上げて全否定した。

いつも注目されているのは岬兄弟だ。

私ではない。


「やっぱり気づいてないんだ。鈍感。」

「違うから。」

「まあいい、もうすぐ人妻だし。」


人妻…………。

そうなるのか。


「っで、良いのがありそうか?」

「あっ、うん。」


また雑誌に目を落とした。

2人で決めていく楽しさを感じていた。

これから6ヶ月の間、私達の結婚式へ向けて2人で色々と決めていくんだ。


「ご両親の意見は?」


ふと気になった。


「任せるって。あー、それと実家に連れてくから。」

「いつ?」

「近いうちに、親が『連れてこい』って煩い。」

「ふふっ、わかった。」


大きく頷いてみせた。