結婚式に向けて動きだした私達。

早速、ウエディング雑誌を読む私の隣で慈英も雑誌を覗き込んでいる。


「これなんてどう?」

「うん、いいかも。」

「これ心菜に似合いそう。」

「そうかな。」


ドレスを試着して見せた時とは大違いに、アレコレとドレスを勧めてくる。

あの日は反応が薄かったのに。


「心菜は若いし、ピンクとか可愛いかも。」

「うーん、子供っぽく見えない?」

「いや可愛いって。あっ、ブルーも好きな色だし、確かに似合ってた。」


あの日は意見もくれなかった人とは思えない。

別人のように意見が出てきている。


「これも似合うな。」

「…………。」

「おっ、これも。」

「慈英、別人みたい。」

「はっ?」


やっと雑誌から私へ視線を上げた慈英と目が合った。


「あの日は反応が一緒だった。」

「あー、それは見惚れたっていうか…………。」


目を逸らす慈英を覗き込み、目と目を合わせる。

それでも逃げていく視線。


「だから見惚れた。どれも可愛くて。」

「…………。」


私も照れる。

ちらっと目が合う。


「実際に、心菜のドレス姿が可愛いくて見惚れてた。」


ヤバい、照れる。