「いくつか試着されますか?」

「えっ?」


慈英を見上げた。


『どうすれば良い?』


目で訴えてみる。

気持ちを読み取ったのか、慈英がスタッフに声を掛けてくれた。


「ぜひ試着させて下さい。」

「はい。」


にっこりと対応するスタッフと一緒にドレスを選んでいく。


「ウエディングドレスのご希望とかありますか?」

「えっと…………。」


はっきり言って希望とか分からない。

雑誌とかで研究してこれば良かったかな?


「心菜、カクテルドレスを着てみろよ。」

「あっ、うん。」


戸惑う私を助けてくれるのは慈英だった。

カクテルドレスとなれば色。


「心菜の好きな色を選べば?」

「うん。」


ブルー系?

明るいオレンジもいい。


「ブルーか?」

「うん。それとオレンジなんてどう?」

「赤も…………ピンクも着てみろ。」


結局、色んな色を試着する。

どれも可愛いらしい。

でも大人の慈英の隣に並ぶなら?

ちらりと慈英を見上げる。


「心菜の好きな色を選べよ。」


私の気持ちが見透かされている。