肩を抱き寄せる慈英に凭れる。


「フィアンセとしての感想は?」

「感想?」

「今日の挨拶。」

「私、大丈夫だった?」

「完璧。」


褒められた。

ただ同じ言葉を繰り返して、笑顔を絶やさなかっただけだ。

それが正解らしい。


「四月になったら入籍。親父達の意見も考慮してジューンブライドでもいいか?」

「うん、いいよ。」

「心菜の両親にも挨拶に行かないと。」

「うん、結婚式が決まれば行けばいいよ。」


シャンパンを片手に寄り添って話す。

現実味が私達を包み込んだ。


「明日、ホテル側に相談するから。色々と決めていこう。」

「うん。」

「心菜。」

「ん?」

「俺を愛してくれてるか?」


思いもしない言葉に固まる。


「俺は愛してる。運命の女だと思ってる。心菜は?」

「…………私も愛してるよ。だから結婚もする。さっき慈英が私を運命の相手だと公言してくれて嬉しかった。」

「うん。」

「きっと私にとっても運命の出逢いだった。だって…………こんなに愛されてる。」

「うん、愛してる。」


甘い囁きにクラクラしそうだ。

落ちてきたキスが合図となり、私達の甘いクリスマスが始まっていく。

二人っきりで過ごす甘い夜が過ぎていった。


「心菜、愛してる。」

「私も愛してるよ。」


お互いの甘い囁きが部屋に響いていた。