さっさと体を拭いていれば、慈英もお風呂から上がってきた。


「怒るなよ。」

「怒ってない。」

「怒ってるだろ。ほら、仲直りのキス。」

「拭かないと風邪ひくよ。」


その場から出ていきたくて、裸にバスローブだけ纏って部屋に向かった。

ソファーで髪を拭いていれば、慈英の気配が隣でする。

突然、慈英に顎を掴まれたかと思いきや、唇が重なり目を見開いた。

慈英の視線と交わる。


「ちょっ…………。」


有無を言わせないキスが落ちてきた。

唇が離れていき、間近にある慈英の顔を見つめる。


「仲直りするよな?」


慈英の言葉に素直に頷く。

間近にある慈英の瞳が笑ってない。

『逃がさない』

そう言われているようだ。


「する。」


慈英が離れていく。


「シャンパンでいい?」

「あっ、うん。」


いつもの口調に戻っている。

ソファーから立ち上がった慈英の背中を追い掛ける。

バスローブ姿の慈英がシャンパンとグラスを持ってくるとグラスに注いでいく。


「心菜、メリークリスマス。」


いつもの慈英だ。

私も引き摺るのは良くないと思い、グラスをカチンと合わせた。


「メリークリスマス。」


二人っきりのクリスマスが過ぎていく。