上機嫌な慈英とゆっくりと風呂に浸かり寛ぐ。

私を抱えた慈英は片時も離れようとはしない。


「心菜、親父達にも了承は得たから。」

「何を?」

「結婚式場。このホテルで了承得た。」

「わかった。」

「明日、ホテルの見学するから。」

「もう予約とかしてるの?」


驚きに振り返れば、髪が濡れたセクシーな慈英が私を見つめていた。

軽くキスを落とす慈英に見惚れる。

大人の色気が満ち溢れている。


「予約はしてる。」

「あっ、うん。」


見つめ過ぎて恥ずかしくなった私は目を逸らした。

ヤバい色気だ。

これが大人の色気?


「心菜。」

「ん?」

「結婚しような。」


耳元で囁く甘い声に頬が染まる。

絶対に女を口説く術を知っている。


「返事は?」

「うん。」


甘い囁きが耳元で聞こえてきて、慈英を見れない程照れてしまう。

ぎゅっと抱き締められ、鼓動が激しく高鳴っていく。

それを解放しようと大きく深呼吸すれば、クスクスと背後から笑い声がする。

どうやら面白がっているようだ。


「お先に。一人でゆっくりと寛いで。」


慈英の腕を解いて風呂場を出ていった。

なんか慈英の余裕にムカついた自分がいた。

大人気ないのも分かるが、自分だけドキドキさせられて、慈英の余裕ある態度が悔しかった。