カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

そんな想いで笑顔を絶対に絶やさない。


「雨宮心菜です。これからも宜しくお願い致します。」


何度も何度も繰り返される言葉に降下気味の気持ちだが、それでも随所で言われる慈英の言葉に気持ちが急浮上していく。


「彼女とは運命の出逢いなんです。」

「彼女しかいませんから。」

「一生に一度の晴れ舞台ですので。」


慈英の気持ちが嬉しかった。

慣れない挨拶回りだが、照れる事なく私を運命の相手だと紹介してくれる姿が嬉しい。

私にとっても間違いなく運命の相手なんだろう。

蘇るのは出逢ったカフェでの会話だ。


『携帯を教えてくれない?』


慈英はどれだけの勇気を振り絞ってくれたのかと思う。

それを断った私を嫌いになんてならなかった。

慈英の勇気が私達の距離を縮めたのは確かだ。

あの一言がなければ、今私達が一緒にいたかは分からない。

ただのカフェの店員とお客様で終わっていた可能性だってある。


「心菜、挨拶を。」

「失礼致しました。雨宮心菜です。これからも宜しくお願い致します。」


違う世界に飛んでいた私を慈英が呼び戻した。

二人っきりになれる時間なんてなかった。

それぐらい副社長である慈英は顔を知られていた。