リビングのソファーにダイブした私は目を閉じた。


「疲れた…………。」


入社以来の忙しさに疲れがドッと溢れた。

服も着替えず、ソファーで目を閉じた私はいつの間にか眠りに落ちていた。

エアコンでリビングが暖められていき、眠気を誘う気温に寝てしまったのだろう。

微かに聞こえてきた声にパチリと目が覚めた。


「…………寝てる。」

「…………。」

「また電話してこい。もう切るからな。」


慈英の声が聞こえてきた。

勢いよく体を起こして見渡せば、私の頭上で寛ぐ慈英の姿が目に映り込んできた。

どうやら私の頭の側に座っていたようだ。


「ごめん、ご飯。」

「食べに行くか?心菜も疲れてるだろ?」

「ごめん。」

「謝る必要はない。俺も心菜も働いてる訳だし。」

「そうだけど。」

「食べに行こうか。」


優しく接してくれる慈英を見つめる。

私よりも断然仕事をしていて疲れている筈なのに。


「ありがとう。」

「ん?」

「慈英も疲れてるのに。」

「以前のピークよりも疲れてない。心菜も初めての大きな仕事で気も疲れてるだろ。」

「慈英と比べたら…………。」

「俺と比べるな。俺は何年も働いて経験も多いから。それより出かけよ。」

「うん。」


ソファーから立ち上がり、着ていた服の皺を簡単に伸ばした。