私達のスキャンダルの件で延び延びになっていた飲み会が開催される今日、目の前にはお馴染みの顔が並んでいた。

毎日同じ部屋で仕事をしている先輩方だ。

隣にはフィアンセの慈英、恵さん、武内さん、そして課長も出席している。

身を乗り出した先輩方の迫力に、自然と後ろに体が逸れた。


「副社長、どうして雨宮さん？」

「私も副社長秘書を希望してました。」

「本当に婚約したんですか？」


隣の慈英を見上げれば、にっこりと外面の笑みを浮かべている。

私は成り行きを見守っていた。


「社報に嘘は載せないし、来春には結婚式もする予定。」

「秘書課は呼んで貰えます？」

「あー、どうかな？雨宮と仲が良ければ考えるけど。」


笑みを絶やさず、柔らかな雰囲気を醸し出しているが、内心は『牽制』が含まれている。


「本当ですか？副社長の友達も呼びますよね？」

「まあね。でも俺の友達は基本アメリカ在住だから。」


先輩方の目の輝きが増していく。

それを知っていて慈英は微笑んでいる。