事態は突然動いた。

1ヶ月後、社内メールが回ってきた。


「兄さんと賢も…………やり終えたわね。」


恵さんの声に大きく頷いてみせた。


『下記の社員を懲戒解雇する。

早川 沙希
北島 深雪

会社に対して不利益を及ぼした…………

以上』


懲戒解雇。

会社に対しての不利益…………。

もう一通の社内メールを開く。


『謝罪

今回の件では、岬慈英及び婚約者の雨宮心菜、更には岬賢が大変なご迷惑を…………。

今後、同じように不利益を及ぼそうとした者は顧問弁護士を交えた…………。


以上』


副社長からの謝罪文と今後の対処が記載されていた。

甘い処分ではない。

寧ろ厳しいぐらいの処分だ。


「嘘で会社に迷惑を掛ければ、これぐらいの処分になるのが理解出来なかったのかしらね。」

「二人は私を妬んでたんですか?」

「分からないけど、モテる兄弟の失態だから…………心菜ちゃんは気にしないで。」

「気にします。」

「なら婚約は辞める?」

「辞めません。」

「ほら、これが最善策だった。もう下手な妬みは起こらない筈よ。心菜ちゃんも自由に過ごせる。」