そして社報が配布された。

緊張の朝を迎えていた。


「大丈夫だ、心菜。」

「うん。」


慈英は大丈夫だと言ってくれるが。

私は内心『どうしよう』状態だ。

婚約も知れ渡るし、慈英と一緒に出社する。


「副社長、おはようございます。」


受付嬢に挨拶される。

視線が私へと向けられて緊張する。


「おはようございます、雨宮さん。」

「おはようございます。」

「副社長宛てです。」

「ありがとうございます。」


受付嬢から手紙を受け取る。

まだ社報を見ていない?

そんな疑問が湧くほど普通の対応だった。

一礼して副社長とエレベーターに乗る。


「社報って…………。」

「配布されてる。」

「普通でしたね。」

「ウチの顔である受付嬢だ。変な女は採用しない。」

「うん。」


コソコソと会話をする。

副社長を見送り、秘書課へと足を踏み入れる。

途端に囲まれた。


「ちょっと雨宮さん、副社長と婚約したの?」

「本当なの?」

「いつから?」


質問攻めにあっていた。