ひとりであたふたしていたら、凛太は涼しい顔で先生に

「俺は本の整理してくる」

と言って、カウンターから抜けて行ってしまった。

「じゃあ、皆瀬さんにはスタンプのお仕事あげちゃおう!」

「はい。やります」

いつも明るい先生につられて笑う。

言われたとおり、新しい貸し出しカードに、ぽん、ぽんと軽快にスタンプを押していく。

凛太……普通だな。私が慌てすぎなのかな。


キスって、あんな感じなんだ。
思ってたより大したこと、ないな…。

ぶつかっただけみたいな。
いや、本当にぶつかっただけ?