「りぃちゃん、ごめんねっ、急に話しかけちゃって」

「ううん。君が謝ることは何もないよ……ありがと、ごめん」

散らばったペンケースの中身を芹香も一緒に拾ってくれていて、隣の男の子の足元に転がった消しゴムに手を伸ばしたら、その男の子がすっと取ってくれた。

「はい」

「あ、ありがとう…」

にこりと微笑むその男子。あまりにも美少年で、消しゴム持ったまま固まってしまった。
こんなリアル王子様のようなかっこいい人がこの学年にいたとは。

「矢吹ーっ、2年の子が呼んでる」
「あ、うん」

誰かに呼ばれて王子が静かに立ち上がると、廊下で2年生の女子何人かが目を輝かせて待っている。

ひー。モテるなぁ。