「わー、このイヤリング可愛い」
華やかな装飾とともに並べられているアクセサリーが目にとまった。
ピアスからイヤリング、ネックレスまで細かい細工が施してある物が所狭しと敷き詰められていて。
「水彩みたいで綺麗ですよね、これ」
「水野さんらしい色の選び方だな」
「暖色系も好きですけど、こういう寒色系の方がつい買っちゃうんです」
特に蓮見先生に似合うと言われてからは、意識して選ぶようになってしまった。
「けど、たまにはこういうのもいいんじゃないか?オレンジとか」
神崎さんはハーバリウムみたいにオレンジの花が埋め込まれたイヤリングを私の耳元に近づける。
「うん。似合う、可愛い」
可愛い、なんて。簡単に言わないで欲しい。
「これくらいの薄いピンクならしつこくないし、俺は好きだけど」
また別の華奢なイヤリングをそうっと耳元に宛がう。必然と縮まる距離に心臓が高鳴った。
意地悪な表情をしたかと思えば、ふとした瞬間笑顔になる神崎さん。
どれが本当の神崎さんなんだろう。分からなくなる。



