神崎さんが指差した方のお店に入ると、時間帯も夕食時だからか混んでいた。
それでもちょうど窓際で景色がいい場所を案内してもらえた。
注文した人気メニューが運ばれてきて、いただきますと手を合わせて口をつける。
「普段水野さんは外食派なんですか?」
「休みの日やまとまった時間があれば作りますけど、外食の方が多いです。神崎さんは?」
「俺も普段は外食で済ませます。この業界、付き合いでの飲み会が多くて」
「へぇーやっぱりそうなんですね。クライアントとも内部での飲み会も多いってイメージはあります」
クライアントから飲み会に誘われたら断るにも断れないだろう。
神崎さんが飲み会ではしゃぐイメージはないし、明日に響かないようにうまく調整してそう。
「だからこうやってゆったり、誰かとふたりきりで食事ってなかなかないんですよ」
「でも、今日は相談があるからっていうお話でしたよね?」
「ああ、それ嘘です」
「嘘!?」
なんとなく相談があると言っていたわりには、さっきから他愛ない話ばかり振られるなと思っていたけど。



