私と王子様のプロローグ




「神崎さん、本当は優しいですよね」


「本当は、って何だよ。いつでも優しいだろ」


「自分で言いますかそれ」


「事実だから。それより、夕食どこで食べます?イタリアン?和食?」


レストランフロアには和洋折衷なんでもあるから逆に迷ってしまう。


「どのお店も美味しそうですけど……」


「水野さん、和食好きなんじゃないですか?」


「え!?話したことありましたっけ」


「いいえ。ただ勘で。いろんな人と接するようになったら、当てられるようになったんです」


「あはは!そんな特技あったんですか、面白い」


広告代理店でアカウントプランナーとして働いていれば、確かに色々な人たちと関わるのは理解できるけど。


それで身についた特技が相手の食の好みを当てられるって。


神崎さんっぽくない特技で面白い。


「和食だとこのお店かこっちですよ。どうします?」


「神崎さんはどちらがお好きですか?」


「……どちらかといえば、こっち」