私と王子様のプロローグ



それでも時間をかけることなくサッと構えて弾を放った。


———パンッ!


「……わ、すごい!倒れましたね!」


「お客様おめでとうございます!」


まわりにいたスタッフの人たちも興奮気味に神崎さんに声をかける。


「いいなぁー!お兄ちゃん」


「すげー、俺もあの的倒せるようになりたい」


子供用で遊んでいた子供たちも神崎さんに羨望の眼差しを向けていた。


「ふふっ、神崎さん人気ですね」


「こんなにギャラリーがいるとは思わなかった」


困ったような、でも楽しそうに微笑む顔は初めて見た。作ったような笑顔じゃないのは新鮮だった。


「景品、好きなやつ選べるってさ」


高得点を取ったため、どんな景品でもひとつ選んでいいらしい。


大人用だから景品もアロマキャンドルとか実用的なものが多い。


「……じゃあこの、メモスタンドにします」


可愛らしい猫をモチーフにしたメモスタンドを選ぶ。


「かしこまりました!こちらが景品になります。ありがとうございましたー」