私と王子様のプロローグ



「そっか、近づいていいんですもんね」


決められたラインより下がって射的をしていた。しっかりラインまで近づいて、的を撃つ。


「……っよし!当たった」


「うまいうまい。金魚すくいは下手でも射的は得意なんじゃないか?」


「そうかもしれないです。次は隣の的で」


狙った的に当たるのが楽しくて、つい本気になってしまう。8点の的を狙うべく慎重に引き金に指をかける。


けれど放った弾は上に流れて、8点の的には当たらなかった。


「うわー、難しい。どうしよう」


「貸して」


「神崎さん、やってくださるんですか?」


「出来ると思います」


私の手から銃をとり、的に向ける。そしてすぐにパンッ!と撃つと、的はいとも簡単に倒れたのだ。


「すごい!神崎さんお上手なんですね」


「昔やってたから」


「じゃあ一番高得点の的、狙ってみてください」


「多分できると思う」


神崎さんは綺麗な姿勢でもう一度銃に指をかける。一番高得点の的は大きくて倒れにくそうだし、狙いにくい位置にあるけど。