私と王子様のプロローグ



面白いって、どのへんが面白いんだろう。


むしろ『休みの日に何もしてなさそう』と答えたことに関しての皮肉かと思ったけど、そういう雰囲気でもない。


蓮見先生は、まだ小さく肩を揺らしてくつくつと笑っていて。


意外と先生って表情豊かというか、笑うんだなぁと感心する。


「梓のおかげで、いい話を思いついたよ。ありがとう。今日中にも完成させる」


「これくらい、どうってことありません。お役に立てたのならよかったです」


このやり取りで第一弾の脚本が仕上がるのであれば、困ることはない。


「あ、一応言っておくけど。別に仕事のためだけに梓のことを知りたいって言ったんじゃないから」


「仕事のためだけ、でも私は構いませんが」


「俺自身が、梓のことをもっと知りたいって思ったんだ。大切なことだよ」


蓮見先生はとても気遣いができる人なんだろう。


仕事のためだけにプライベートまで聞かれることと、他にも意味があって聞かれるのは心証が違う。


気遣ってくださってありがとうございます、と言えば『梓は鈍感だ』とため息を吐かれた。