紙袋を見ただけ困惑してしまい、なかなか中を開けようとしない私をみて奏大さんは、
「貸して」
「あっ」
そう言って私から紙袋を奪うとすぐに中から箱を取り出して開け始める。
奪われてしまった私はその光景をただぼーっと見ることしか出来ない。
奏大さんが小さな箱から取り出したのは。
「ネックレスだよ」
「.....」
「女にこういうのあげるのほんと初めて」
奏大さんは取り出したネックレスを手のひらに乗せてじっと見つめた。
決して派手ではないシンプルなデザイン。
細くて華奢なローズゴールドのチェーンとハートのモチーフ。
ハートの部分にはダイヤモンドが埋め込まれていて、小さくてもその輝きはとても存在感があった。
街灯の僅かな明かりだけしかないこの場所でもキラキラと輝いていた。
なんて可愛らしいデザインなんだろう。
思わずその輝きに目を奪われる。

