近くまで行くと、
奏大さんはまず私を見て、
「なんで外で待ってんの。危ないだろ。薄着だし。これ着て」
そう言ってすぐに自分が着ていた上着を私の肩に掛けてくれた。
その瞬間奏大さんの香水の香りがふわっと香る。
奏大さんの上着は私には大きくて、そして暖かくて、まるで包まれてるみたいでドキドキしてしまう。
「あ、ありがとうございます。....でもこれじゃ奏大さんが寒いですよね....」
上着を取ってこようかな、とも思ったけど、
「いいからそれ着てて。俺は男だし平気だから。愛衣はちゃんと冷えないようにしないと。今度からは中で待ってろよな?」
いいか?と私の目を見て注意する。
「はい...」
まるで彼女を心配しているみたいに言うから、凄く大切にされてるんだって勘違いしてしまいそうになる。
それに、気遣ってくれるのも嬉しかったけど何より「今度から」っていう言葉が嬉しくて私は注意されてるのについ笑顔になってしまった。
また今度がある、ということを当たり前の様に言ってくれる奏大さん。
これっきりじゃないんだと安心した。

