いや、離れようとしたんだけど、
その人は私が離れるよりも早く、
長くて綺麗な指先でスッと、お父さんお手製の手書きメニュー表の一番上に大きく書いてある『ほうれん草と3種のチーズのスープパスタ』をまたも無言で指差した。
あ、それは....。
私が考えたレシピだ。
初めての注文。
「あ、あの、ご注文はこちらでよろしいですか?」
一応確認すると、
「......」
首を小さく縦に振る。
肯定の意味だよね?
「以上で大丈夫ですか?」
「.....」
またも肯定のサイン。
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

