とりあえずお母さんに言われるまま奏大さんとうちの流し台に立つ。






「今日はありがとう」






奏大さんは食器を洗いながらきちんととお礼をしてくれた。






「いや、あの父がいきなりすみませんでした」






私は奏大さんの横に並んで、洗われた食器を拭いて元の場所に戻していく。





お父さんは明日の仕込みがあるため店に戻り、お母さんもすでに部屋に戻っていたから二人だけになっていた。





二人でうちの流し台に立つなんて違和感だらけだ。





奏大さんは見た目がクールに見えるし、その整い過ぎた顔立ちもあって近寄り難い雰囲気がある。





でも、意外と普通に会話してくれるし、優しい表情もしてくれるから、静かではあっても、嫌な緊張感は全然なかった。