芸能人の彼と普通の女子高生。








『いつも通り断りましたが、何しろ店の近くだったのでそのスカウトマンに僕のバイト先がバレてしまいました。それからはもう連日、僕がバイトではない時でも店に来るようになりました。そこから毎日のようにスカウトの話しをされるようになりました』






『その熱意に和泉君も折れたってこと?』





『いいえ、それでもずっと断っていました。でもある時そのスカウトマンが来ない日がありました。今日は来ないんだな、くらいにしか思っていませんでしたがその日に限って店長から変なお願いをされました。というのも、僕の居た店は出前は受け付けていないのに、なぜか届けて欲しい場所があるから行ってくれ、と言われました』





『おぉ!不思議だね!』






『疑問に思いながらも届けに行くと、そこは近くの3階建ての建物でした。その時、僕はその建物内の何階の、どの部屋に届けていいか何も分からず、とりあえず見かけた人に声を掛けました』





『うん、うん!』





『するとその人は僕を待っていたかのように笑顔で出迎えてくれて案内してくれました。それで連れて行かれたのがまさに撮影が行われている真っ最中のスタジオでした』





『おぉ!』






『そこで初めてプロのモデルの撮影風景を目の当たりにしました。正直、芸能界には軽いイメージがありましたがその撮影現場は真剣そのものでした。モデルは勿論、スタッフも全員、より良い作品に仕上げるため本気で仕事に取り組んでいて、その姿はとても格好良くてプロとはこういうことかと見せつけられました』





『撮影風景に見惚れたんだね』





『はい。バイトで来たことも忘れてただずっと見ていました。今思えば変な話しですがその時、部外者である僕を外へ連れ出そうとする人は誰もいませんでした。まるで、そこで見ていることを許されていたかのようでした』