「でも、愛衣は俺のことを知らなかった。それで普通に接してくれた」






「.....」







「たったそれだけのことだったのに何だか凄く居心地が良かった。愛衣はどこまでも純粋で、真っ直ぐで、無邪気で。そんな風に俺に接してくれたから俺も気を許したんだと思う」





そう言った奏大さんはゆっくりと私を抱き締める力を緩めて、私の顔を見つめる。






間近で見上げた奏大さんはどこまでも整った顔立ちで息を呑むほど綺麗だった。







「愛衣」





「......奏大さん」






思わず奏大さんの服をギュッと握り締める。






「俺は俺。それで、愛衣は愛衣だよ」






「っ.....」






私が一番気にしてること。





奏大さんは奏大さん。




芸能人とかそういうのは関係ない。





そして、私は私。




一般人だとか、女子高生だとかそういうのも関係ない。






立場の違い。




住む世界の違い。






そんなの関係ないって、思いたかった。