すると急に下を向いていた私の視界に奏大さんの靴が見えた。
えっ?
と思ったら、
「愛衣」
「奏大さん.....!?」
奏大さんは私をギュッと抱き締めた。
すぐに奏大さんの温もりと、優しい香りに包まれる。
「あ、あのっ.....」
「.....」
突然のことに慌てふためく。
何度も瞬きを繰り返してしまう。
私は拒むことも、何かを言うことも出来ない。
奏大さんは細く見えていたけど胸板は硬くて、私をすっぽりと覆ってしまうほど身体が大きくて、改めて男性ということを感じさせられた。
驚いたけど、でも、
奏大さんの腕の中はひどく安心感があった。
「愛衣、このまま、俺の話を聞いて?」
「...はい」
上手く喋れなくてコクコクと何度も頷いた。

