涙が止まらなくなっていく。
「......愛衣、俺を見て」
「っ......」
「愛衣」
泣くつもりなんてなかった。
誕生日に会えるだけで嬉しいと思ってたのは本当。
だから、ずっと笑顔でいたかった。
こんな顔を見られたくなくて、奏大さんが名前を呼んでくれるけど、それでも私は下を向いたまま頭をふるふと横に振った。
「.....」
次第に奏大さんは私の名前を呼ぶことをやめた。
その途端、静かになる。
呆れた?
なんで泣いてんだよって、ウザいって思った?
そう思ってしまうと今度は怖くて顔を上げられなくなる。
奏大さんに冷たい目で見られるのが怖い。
冷たい声も聞きたくない。
怯えて、俯いたままでいた。

